無我夢中

中学1年生だったと思うのですが、 北杜夫さんの『どくとるマンボウ昆虫記』という本が、 読みはじめたらやめられなくなって、 ふとんのなかで腹ばいになって、 夜を通して読了してしまったことがありました。 あのとき、なぜ「もう寝なさい」と言われなかったのか。 いまでも不思議なのですが、 「やめられない読書」というものがあることを、 父親が知っていたのかもしれません。 ちょうどよく少し読んでは、 また翌日...
0

気持ちを味わう

ふと思い出したことがある。   昔、父が脳梗塞をくりかえし、 左半身が不自由になっていたときのころ。 リハビリを兼ねて、両親を温泉に招待した。 脳梗塞を患ってからというもの父は、 歩くことをわずらわしく思い 散歩さえも、おっくうがっていた。 だから、気分転換もかねて、温泉に誘った。 しかし、案の定、 ホテルの中も歩きたがらない様子だった。   せっかく温泉にまできたのに、 部屋にこもっていてはもっ...
2